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【ハイパーオートメーション事例】「紙と手書き業務」の壁を越えた医療現場――スウェーデンの成功事例に学ぶ

電子カルテや診療記録のデジタル化が進む一方で、医療現場では依然として紙や手書きによるアナログな業務が多く残っているのが現状です。こうした非効率の解消に向けて、ハイパーオートメーションの活用が注目を集めています。
本記事では、スウェーデンの公的医療機関である「ストックホルム地域医療局(Region Stockholm)」が、業務プロセス自動化プラットフォーム「Tungsten TotalAgility(タングステン・トータルアジリティ)」を導入し、紙ベースの業務をどのようにデジタル化・効率化したのかをご紹介します。
海外の事例ではありますが、紙業務の多い日本の医療現場にも応用できる多くのヒントが含まれています。
ハイパーオートメーションとは:https://open.co.jp/hyperautomation/about/
ストックホルム地域医療局(Region Stockholm)とは?
ストックホルム地域医療局(Region Stockholm) は、スウェーデン・ストックホルム地域における医療・交通・行政サービスを担う公共機関です。人口200万人超の住民に対して医療インフラを提供し、業務効率とサービス品質の向上を目的にデジタル化を推進しています。
課題|医療記録の30%が手書き、患者安全にリスクも
ストックホルム地域医療局では、電子カルテ「Take Care」の導入により約70%の患者記録がデジタル化されていましたが、残り30%は「紙ベース」のまま。特に一次診療現場では、スピード重視で紙と手書きが多用されていました。
紙で記録された診療情報は、中間システムに一時保管された後、手動で確認・分類・登録されるというプロセスを経ていました。この非効率な仕組みは、情報反映の遅延=患者の安全に直結するリスクとなっていたのです。
解決策|紙からクラウドへ、一連の業務をまるごと自動化
今回の取り組みでは、紙で記入された診療情報を扱う一連の業務に対し、業務プロセス自動化プラットフォームを活用した仕組みが導入されました。これにより、従来は人の手を必要としていた処理が、以下の流れでスムーズに自動化されています:
- 手書きの診療記録をスキャンし、文字情報を読み取る(AI-OCR)
- 公的なデータベースと照合して患者情報を検証
- 電子カルテと連携し、該当する診療内容に情報をひもづけ
- 文書の種類や内容に応じて、自動的に分類・登録
この仕組みの中核には、Tungsten TotalAgility(タングステン・トータルアジリティ)が活用されており、AI-OCRや業務ルール、ワークフロー制御を一元的に管理。
紙ベースの情報を、クラウド上で即時に活用できる状態へと変換する基盤として、大きな役割を果たしています。
活用された主な機能
- OCR・自動キャプチャ
紙の診療記録をスキャンして文字情報を抽出 - データ検証
税務データベースや電子カルテと自動照合 - ビジネスルールエンジン
医療記録の種別に応じて自動分類 - ワークフロー自動化
医療機関ごとの登録フローに合わせて処理 - インサイト(可視化)
処理件数やボトルネックの可視化
成果|リードタイム短縮、患者安全と業務効率を両立
これまで紙の診療情報は手作業によって時間をかけて登録されていましたが、Tungsten TotalAgilityの導入により、紙で記録された内容がほぼリアルタイムで電子カルテに反映されるようになりました。
その結果:
- 診療現場での情報反映スピードが向上
- 患者情報の正確性と可用性が向上
- 医療従事者の作業時間が削減され、現場の負荷が軽減
今後の展望|「年間400万件」のフォームを自動処理へ
今回の取り組みは、ストックホルム地域医療局におけるハイパーオートメーションの始まりにすぎません。今後は、年間400万件以上に及ぶ医療関連フォームを完全自動処理する計画が進んでいます。
実際のプロジェクト中には、当初の範囲を超える多くの業務ニーズも明らかになり、全庁的な自動化推進への可能性が高まっています。
関係者によれば、この取り組みによって、業務の無駄や滞りが大幅に減り、日々の業務が効率化されたことで、現場の働きやすさも向上しているとのこと。今後は、データの活用や業務の進め方そのものを大きく変えていく可能性も期待されています。
日本企業への示唆|今の紙業務が業務プロセスの最先端に変わり得る
この事例から見えてくるのは、紙で残っている業務こそが、自動化の最も効果的なスタート地点であるということです。
- スキャンだけで終わっていないか?
- 手動で照合や分類をしていないか?
- 情報が別々のシステムに分断されていないか?
Tungsten TotalAgilityは、それらを一つの流れに統合し、作業負荷を削減しながら、精度とスピードを向上させる力を持っています。
まとめ|ハイパーオートメーションは「人」のための変革
ストックホルム地域医療局の取り組みは、業務効率だけでなく、医療の質・安全性・職員の働きやすさまでを含めた「人中心のDX」と言えます。
ハイパーオートメーションは、人を置き換えるものではなく、人が本来集中すべき業務に注力できる環境をつくるものです。
「紙ベース業務をやめたい」「スキャン後の仕分け・登録が手作業で困っている」
そんなお悩みがあれば、まずは無料相談してみてください(https://open.co.jp/hyperautomation/contact/)
製品紹介│ハイパーオートメーションの中核を担う「Tungsten TotalAgility」とは?
Tungsten TotalAgilityは、ハイパーオートメーションの実現に欠かせない、業務全体の統合と自動化(プロセスオーケストレーション)を担う統合プラットフォームです。
主な特長:
- マルチチャネルキャプチャ:紙、PDF、Webなどあらゆる入力データを取り込み
- ドキュメント分類・データ抽出(AI-OCR):自動認識・読み取りによる入力業務の効率化
- ワークフロー自動化(BPM):部門を横断した業務プロセスの設計と自動化を実現
- ビジネスルールエンジン:条件に応じた自動処理の分岐や判断を設定可能
- リアルタイム分析・可視化(Insight):プロセスの状況を数値やグラフで可視化・改善に活用
Tungsten TotalAgilityは、RPA、AI、データ連携、人の判断を含む一連の業務プロセスを、ひとつの基盤で「設計 → 実行 → 監視 → 改善」まで管理できるのが最大の特長です。 全体最適を実現する「ハイパーオートメーションの中核」として、多くの企業・機関で活用が進んでいます。
日本国内での導入・サポートについて
Tungsten TotalAgilityは、日本国内ではオープン株式会社が販売およびサポートを担当しています。 導入検討や製品活用に関するご相談は、以下よりお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら(https://open.co.jp/hyperautomation/contact/)