CASE STUDY
【ハイパーオートメーション事例】ブラジルの道路運営大手がわずか5か月で実現したシェアードサービスセンター構築と業務改革

業務の集中化と自動化は、多拠点展開やグループ経営を行う企業にとって避けて通れないテーマです。近年は、AIやRPAを活用したハイパーオートメーションが注目を集めており、シェアードサービスセンターとの組み合わせにより、業務の全体最適を短期間で実現する事例が増えています。
本記事では、ブラジル最大級の高速道路運営会社であるアルテリス(Arteris)の取り組みを紹介します。同社は、わずか5か月でシェアードサービスセンターを構築し、ハイパーオートメーションと融合させることで、業務改革と組織の生産性向上を実現しました。その軌跡を紐解いていきます。
ハイパーオートメーションとは:https://open.co.jp/hyperautomation/about/
アルテリス(Arteris)について
アルテリスは1998年に設立されたブラジルの高速道路運営会社で、全国で3,250km以上の道路インフラの運営・保守を担っています。国や自治体から道路の運営を委託される「コンセッション方式」により、9つの運営会社を展開。本社はサンパウロにあり、インフラ管理で世界有数のAbertisグループに属しています。
【課題】業務集約の必要性と、乗り越えるべき壁
企業成長に伴い、アルテリスでは従来の分散型バックオフィス体制に限界が生じていました。買掛金・売掛金処理、記録管理、レポーティングなどの業務を各子会社が独自に行っていたため、業務の属人化、重複処理、品質ばらつき、コスト増加が顕著になっていたのです。
そこで同社は、業務効率化と全体最適を目的に、シェアードサービスセンターによる業務集約を決断します。しかし同時に、各子会社に蓄積された独自の業務フローや現場知識が失われるリスクや、全体像を把握できないまま業務を進める懸念も生まれました。そのため、SLA(サービスレベル合意)やKPIなどの業務基準を明確に可視化・共有し、チーム全体で把握できる体制づくりが欠かせなかったのです。
【解決策】TotalAgilityを中核とした可視化・統合プラットフォームの構築
アルテリスは、シェアードサービスセンターの構築に際し、AI・自動化・データ統合を兼ね備えたハイパーオートメーション基盤を導入しました。その中核となったのが、プロセス自動化プラットフォーム「Tungsten TotalAgility(タングステン・トータルアジリティ)」です。
まずは請求書処理の自動化から着手し、徐々に買掛金業務全体へ拡大。その後、SAP ERPやMicrosoft SharePointなど既存の業務システムと連携させることで、業務プロセスとデータの統合管理環境を構築しました。
さらに、稼働前には約160の業務プロセスを定義・整備。各プロセスを事前にシミュレーションし、ボトルネックや処理ミスの兆候を可視化。これにより、本番稼働後もスムーズな立ち上げが実現し、わずか5か月でシェアードサービスセンターが本格稼働に至りました。
【製品特長】業務自動化と統合を支えた主な機能
アルテリスが構築した業務基盤では、以下のような主要機能が活用されました:
- TotalAgilityによる請求書・買掛金処理の自動化:これまで人手で行っていた請求書の確認やシステムへの入力作業を、TotalAgilityによって自動化。請求書の内容を読み取り、支払い条件と照合し、処理までを一連で実行できるようになりました。これにより、少人数でも月間数千件の処理を正確かつスピーディに対応できる体制を構築しました。
- Microsoft SharePointやSAP ERPとのシステム連携:複数のシステムにまたがっていた業務情報を、TotalAgilityが連携・統合。SAP ERPから仕入先情報や支払データを取得し、SharePointに保存された請求書と紐づけて処理を進行。二重入力や転記ミスを削減し、業務の一貫性と精度を向上させました。
- 業務プロセスの事前設計・シミュレーション機能:導入前に約160の業務プロセスを構築し、事前に流れをシミュレーション。業務フローの妥当性やボトルネックの有無を可視化・改善したことで、本番稼働初日から安定した運用が可能になりました。
【成果】人員の最適化と業務スピードの大幅向上を両立
シェアードサービスセンター導入後、アルテリスはバックオフィス業務の人員を半減。同規模の他社と比較しても40%少ない人員で安定運用を実現しました。
特に大きな成果となったのが月次決算業務のスピードアップです。初月から予定より前倒しで帳簿を締め、再処理はわずか7件。2か月目には再処理ゼロで完了するという、非常に順調なスタートを切りました。さらに請求書処理においても支払い遅延ゼロを維持し、政府関連契約を含む重要業務にも好影響を与えています。
【今後の展望】さらなる自動化で業務の質とスピードを両立へ
アルテリスは今後、RPAを追加導入し、反復的でルールベースな業務をさらに自動化する計画です。これにより、スタッフを単純作業から解放し、より付加価値の高い業務へとリソースをシフトしていきます。また、プロセスのトレーサビリティ(追跡性)を活かし、ミスの傾向や遅延の要因をデータで分析。ピンポイントで改善を施すことで、人材育成と業務品質の両立を加速しています。すでにグループ内では他子会社によるモデル展開も始まりつつあり、アルテリスのシェアードサービスセンターは「ベストプラクティス」として注目されています。
【国内企業への示唆】属人化から脱却し、全体最適を実現するために
この事例は、国内企業にとっても非常に参考になる取り組みです。。特に、複数拠点や子会社を抱える大手・中堅企業では、シェアードサービスセンター×ハイパーオートメーションの組み合わせが、業務集約と品質標準化を同時に実現する鍵となります。
属人化、業務ばらつき、ブラックボックス化といった課題は、データドリブンな可視化と自動化で克服可能です。今こそ、部分最適を脱し、全体最適を見据えた変革が求められています。
【まとめ】スピード・品質・コストを同時に実現した、成功のモデルケース
アルテリスの取り組みは、シェアードサービスセンターとハイパーオートメーションを融合させた「全体最適の成功モデル」です。わずか5か月で構築・稼働を果たし、業務効率・コスト削減・品質標準化をすべて両立。グループ全体に波及するベストプラクティスとなりました。
変革は段階的に、しかし確実に進めることができます。業務の見える化、自動化、そしてプロセスの再設計。これらの積み重ねが、未来の働き方と経営のあり方をつくります。
あなたの会社でも「全体最適」は実現できます。
まずはお気軽にご相談ください:
https://open.co.jp/hyperautomation/contact/
ハイパーオートメーションの中核を担う「Tungsten TotalAgility」
Tungsten TotalAgilityは、ハイパーオートメーションを実現するための統合プラットフォームです。紙・PDF・Webフォームなどあらゆる入力データを取り込み、処理・判断・可視化までを一気通貫で実行できるのが最大の特長です。
主な機能は以下のとおりです:
- マルチチャネルキャプチャ:紙・Web・PDFなど、複数の入力チャネルに対応
- AI-OCRとデータ抽出:書類を読み取り、必要な情報を自動で取り出す
- ワークフロー自動化(BPM):部門をまたいだ業務の流れを設計・実行・管理
- ビジネスルールエンジン:条件に応じた処理の自動分岐や判断を実現
- リアルタイム分析・可視化:進捗状況やボトルネックをグラフで見える化
Tungsten TotalAgilityは、RPAやAI、人の判断、外部システムとの連携を含むすべての業務プロセスを「設計→実行→監視→改善」まで一元的に管理でき、分断されていた業務の統合と標準化を可能にします。これにより、属人化の排除、ミスの削減、業務スピードの向上、そして顧客満足とコスト削減の両立を支援します。
国内ではオープン株式会社が、Tungsten TotalAgilityの販売・導入支援・技術サポートを担当しています。ハイパーオートメーションの実現に向けたコンサルティングや、最適な技術の組み合わせ提案も行っております。導入のご相談や製品活用については、以下よりお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせはこちら:https://open.co.jp/hyperautomation/contact/
※本記事は、Tungsten Automationが公開している「Arteris paves the way to more productive and profitable operations」の事例情報をもとに編集・構成したものです。